東京高等裁判所 平成11年(行コ)117号 判決 1999年8月31日
控訴人
井上得三
被控訴人
北沢税務署長 後藤賢三郎
右指定代理人
熊谷明彦
同
内田健文
同
佐藤大助
同
荒川政明
同
栗原牧彦
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一申立て
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、控訴人に対し、平成七年三月六日付けでした控訴人の平成元年分ないし平成五年分の所得税に係る各更正(平成二年を除く各年分については、平成八年一二月六日付け審査裁決により一部取り消された後のもの。)のうち原判決別表一ないし五の各順号1確定申告の項記載の各総所得金額及び各納付すべき税額を超える部分並びに各過少申告加算税賦課決定(平成二年を除く各年分については、平成八年一二月六日付け審査裁決により一部取り消された後のもの。)を取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
控訴棄却
第二事案の概要
事案の概要は、原判決「事実及び理由」第二に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決六頁末行の「サントリー」の前に、「本件建物は、建築当初から井上企画の所有であり、控訴人の所有ではなかった。」を加える。)
第三当裁判所の判断
一 当裁判所も、控訴人の本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の取消請求は理由がなく、棄却すべきであると判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決「事実及び理由」第三に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一〇頁八行目の「事情」を「事実」に改め、同末行の「井上企画へ」の次に「現物出資又は」を加える。
2 原判決一一頁一〇行目の「前記事実関係に照らして」を「井上企画の設立は昭和六二年五月二日であるのに対し、本件建物の建築請負契約が締結されたのは昭和六一年八月一日(乙第三号証)、本件建物が完成したのは昭和六一年一二月三日(乙第五号証)なのであるから、」に改め、同末行の「本件建物を」の次に「現物出資され、又は、これを」加える。
3 原判決一三頁二行目から同三行目にかけての「みなす。」の次に、「そして、控訴人は、自らに帰属すべき所得を形式上井上企画の所得とすることを企図して、両者間の賃貸借契約書等を作成したものと認められることは前示のとおりである以上、控訴人の行為は、偽りその他不正の行為により税額を免れようとしたものというべきであるから、被控訴人は、国税通則法七〇条五項により、平成元年分にまで遡って更正処分をすることが許される。」を加える。
二 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 筧康生 裁判官 滿田忠彦 裁判官 鶴岡稔彦)